心不全

もし、心臓病が進行していたら…?
心臓の機能が低下したまま放っておいたら…?

心不全は「心臓病の末期状態」です

心不全は心臓病の行く末で、だんだん悪くなり、息切れやむくみが起こり、生命を縮めます。
心臓のポンプ機能が低下して、全身の臓器が必要とする血液を十分に送り出せなくなった状態を『心不全』といいます。

  • 心不全を引き起こす主な原因

    心臓というのは毎日、大変な仕事をしています。そのうえ病気によっていろいろな負担がかかっていくと、心臓の筋肉がどんどん弱っていきます。主な原因として、心臓の病気と、心臓以外の病気があげられます。

    • 心臓の病気

      • 動脈硬化などが要因になる「狭心症」
      • 突然発症し、死に至ることもある「心筋梗塞」
      • 心臓弁が変性・硬化しておこる「心臓弁膜症」
      • 一定の間隔で動くべき心臓のリズムが乱れる「不整脈」
      • 心臓の筋肉の壁が厚くなったり、のびたりする「心筋症」
    • 心臓以外の病気

      • 高血圧
      • 糖尿病
      • 睡眠時無呼吸症候群
      • 甲状腺機能亢進症
      • 貧血
      • COPD(昔の呼び方「肺気腫」)などの肺疾患
  • 高齢化社会で急増する心不全

    近年、生活習慣の欧米化に伴う虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症など)の増加や高齢化による高血圧や弁膜症の増加などにより、心不全の患者さんが急増しています。心臓病がなくても年を取ることが原因で起こるため、高齢者がもっとも気をつけなくてはいけない心臓のトラブルの一つでもあります。
    罹患者数は全国で約120万人、2030年には130万人に達すると推計されています。がんの罹患者数が約100万人ですから、心不全の患者さんがいかに多いかが分かります。

心不全の治療と予防

  • 日本心臓財団HPより引用

    一度心不全を発症すると、徐々に進行していき、引き返すことが難しくなります。
    何度も悪化を繰り返し、その間隔が短くなっていくだけでなく、心臓の働きが落ち、体の機能も低下していきます。
    心不全を予防することが心不全の治療になり、しっかり治療することが悪化予防にもなります。
    つまり心不全の治療は「心不全に陥らないようにする」「心不全が進行するのを防ぐ」ことのどちらにも有効なのです。
    心不全に行き着く前にできる検査や治療、生活改善があります。

  • 心不全には4つのステージ分類があります

    ステージA(心不全の“入り口”)

    心不全の原因となる生活習慣病がある

    生活習慣病があると、動脈硬化が進行して狭心症や心筋梗塞が起こりやすくなります。また、血圧も高くなり、心臓に負担がかかるようになります。現時点では心臓に問題がなくても、生活習慣病を改善しないと、心臓の病気のリスクを高め、心不全が起こりやすくなります。

    治療目標 危険因子のコントロール・器質的心疾患の発症予防
    生活改善 減塩・禁煙・適度な運動・薬をきちんと服用する・血圧管理
    ステージB(心不全はすぐそばまで来ている)

    何かしら心臓に病気がある

    心臓の病気がある人は、もともと心臓のポンプ機能が低下しています。心臓の病気が進行したり、年を取ることで心臓の働きが低下すると、より心臓のポンプ機能が低下して、心不全を発症しやすくなります。心不全の症状がでていない段階から適切な治療を受け、しっかりと管理していけば、心不全の発症を回避することは可能です。

    治療目標 器質的心疾患の進展予防・心不全の発症予防
    生活改善 ステージAと同様
    ステージC(心不全を発症)

    心不全が起きている

    心不全のさまざまな症状が現れ、活動が制限されます。さらなる進行を防ぐためには、きちんと治療を続けることに加え、生活習慣を見直し、改善していくことが大切です。

    治療目標 症状コントロール・生活の質の改善・入院予防・死亡回避
    生活改善 感染症・疲労・ストレスを避ける・薬をきちんと服用する・塩分・水分制限を守る
    ステージD(心不全が進行)

    心不全で治療が難しい状態

    心疾患のためいかなる身体活動も制限される。心不全症状や狭心痛が安静時にも存在する。わずかな労作でこれらの症状は増悪する。心臓の機能はだんだん悪くなっていく。何度も増悪を繰り返し、回復は難しい。

    治療目標 再入院予防・緩和ケア・終末期ケア
    生活改善 ステージCと同様

心不全になっても
長く生きるために

  • 心不全が進行すると、低体重(低栄養)・運動能力(筋力)低下や免疫力が弱まり、『かぜ』などの感染症にかかやすく、治りにくくなります。また、心臓の余力がないため、身のまわりの軽い労作でも心臓を酷使している状態になり、心臓がすぐばててしまい行動範囲が狭まります。さらにステージDまで重症化してしまった患者様では、適切な治療を受けなければ、2年以内に50%が亡くなるといわれています。心不全になっても長く生きるためには、できるだけステージAまたはBの状態にとどめておく必要があり、軽症のうちからしっかりと治療することが大切です。
    心不全になってしまった後はなるべく増悪させない(入院回数を減らす)、あるいは増悪に早く気付き、軽症のうちに対処することが重要です。悪くなるまで気付かない、薬を変えない。悪くなっても手に負えない、病院へ紹介するだけ。そんな医師には決して命を預けてほしくないと考えています。平和通ハート内科は治療をしたら終わり、ではなく治療した10年後、20年後も元気にいられることを目標に治療を行っております。

あなたの心臓を守るための
「4つの柱」

    • 食事療法
    • 薬物治療
    • 睡眠療法
    • 運動療法

    今までの誤った生活を見直し、「治療」に繋がる生活習慣の改善が、心不全悪化を「予防」します。心不全を発症しても、できるだけ自分で活動する力を維持するためには適切な薬物治療に加え、食事・運動・睡眠の質を良くすることが重要です。心臓を守る「鍵」となる自律神経と血圧の安定のために、当院では「薬物治療」 だけでなく、「食事療法」「運動療法」「睡眠療法」を重視しています。どれも欠くことのできない治療の『四本柱』と考え、患者様一人ひとりに合わせたオーダーメイドのサポートを行っております。

  • 食事療法

    塩分を摂り過ぎると、体内の血液量が増えて心臓に負担をかけてしまいます。心不全を防ぐために、まずは『減塩』を心がけましょう。
    さらに気をつけたいのが『栄養不足』です。心不全の症状として、胃や腸にうっ血が起こるため食欲が低下しやすく、かつ栄養素の吸収が阻害されます。さらに高齢者では食事量が減ることで栄養不足になり、やせてしまう人が多くなります。やせすぎて筋力や活力が低下した虚弱な状態を『フレイル』といいますが、フレイルが起こると心不全が進行しやすくなります。フレイルにならないためには塩分制限を緩めてでも、必要な量の栄養をしっかりとることが優先されます。
    特に筋肉や骨をつくるための栄養素(たんぱく質やビタミンD)を食事から積極的に摂取すること、運動療法を併用することで筋肉の合成や骨密度の維持を図ることが重要なのです。

  • 薬物治療

    心不全を予防するためには、生活習慣病や心臓の病気をうまくコントロールしていくことが大切です。 心不全の治療で使われる薬は、症状を軽くしたり、心不全が進行するのを抑えるものです。主に4つのタイプに分けられます。これらの薬は効能が似ていても作用する場所がそれぞれ異なり、重症度に応じて数種類の薬を併用していきます。

    主な治療薬

    心臓を長持ちさせるためには『血圧を下げ』、『心拍数を減らし』、『体内の余分な水分を減らす』ことが有効です。

    • ACE阻害薬 、ARB 、アルドステロン拮抗薬・・・・心臓を保護する(血管の抵抗を弱めたり、心筋の障害や心臓の拡大を予防する効果があります)
    • β遮断薬・・・・心臓を休ませる(無理し過ぎている心臓を休める効果があります)
    • 利尿薬・・・・心臓を楽にする(体の余分な水分を排出することで循環血液量を減らし、心臓の負担を軽くします)
    • 強心薬・・・心臓を力づける(心臓の収縮力を強くします)
  • 睡眠療法

    心不全患者さんの2/3以上に睡眠呼吸障害を合併していることが報告されています。閉塞性無呼吸は心不全の原因として、中枢性無呼吸は心不全の結果として発症し、中枢性無呼吸は心不全をさらに悪化させます。また夜間睡眠中の突然死は致死性不整脈が原因であることが多く、その誘因が無呼吸による交感神経の興奮と考えられます。
    研究によれば、睡眠時無呼吸症候群(SAS)を合併している心不全患者さんでは、SASを治療しないと死亡率が2~3倍高くなることも分かっています。ですから心不全を合併した睡眠呼吸障害の患者さんには積極的に治療を行っていただく必要があります。

    睡眠時無呼吸症候群
  • 運動療法

    心臓病患者さんは様々な原因で運動能力や生活活動度が低下しています。運動療法は運動能力の低下を改善させる作用があります。さらに運動療法は自律神経のバランスを改善する作用が重要です。多くの心臓病患者さんにおいて、交感神経が高まり、副交感神経が弱まっていますが、このことが心臓病の重症度を悪化させることが知られています。運動療法を行うことによって、交感神経を弱め、副交感神経を高めることができます。しっかりと運動療法を継続すると、心拍数や不整脈が少なくなることがありますが、これは自律神経のバランスを改善したことによるものです。

心臓を守るため、
生活で気をつけていただきたいこと

心不全増悪による再入院の原因日本心臓財団HPより引用

心不全は増悪を繰り返すことで病態悪化が進行します。つまり入院するたびに全身状態が1段階ずつ低下し、入院前の状態にまで回復することはありません。
心不全の状態が悪くなって入院する原因は病気の悪化そのものより、「塩分・水分制限の不徹底」「過労」「治療薬服用の不徹底」などが上位を占めています。心不全の増悪と生活は密接に関連しており、患者さんご自身が注意すれば、再入院を防ぐことができます。つまり「自己管理によって、心不全の予後は改善する」ということです。
また入院する原因として、感染症にも注意しなくてはいけません。特に肺炎は心臓に負担がかかり、心不全が悪化するため、インフルエンザや肺炎球菌のワクチンを接種し、肺炎を予防しましょう。詳しくは厚労省のパンフレットをご確認ください。

予防接種

あなたの心臓を守るために大切な「検査」

  • 心エコー検査

    心臓の壁の厚さ、弁の状態、心臓のポンプ機能などを調べることができ、心不全の原因検索に重要です。
    当院では緊急でも対応可能で、医師だけでなく2名の臨床検査技師が施行できる体制をとっています。

  • 血液検査(NT pro-BNP )

    日本心臓財団HPより引用

    心臓から分泌されるホルモンの一種である『脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)』を血液検査することで、心不全の早期発見に有用です。また高値であるほど重症と診断され、管理状況の良し悪しの指標になります。
    当院ではNT pro-BNPを10分程で測定でき、病状の悪化に早く気づくことができます。他のクリニックでも測定していますが、外部検査機関に委託するため結果は翌日以降になります。速い診断、そして時間差のない治療を開始できるのが当院の強みです。

  • 胸部レントゲン

    心不全が悪化すると、心陰影の拡大や肺の異常(胸水貯留や肺うっ血臓)をきたします。定期検査にも 肺疾患との鑑別にも有用です。血液検査(NT pro-BNP)は1月に1回しか検査できませんが、胸部レントゲンは何度も撮影できます。放射線の被ばく量もわずかで、毎日撮影しても心配ない程度です。

  • 簡易睡眠検査

    睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いがある場合、ご自宅で検査機械を装着していただき血液中の酸素濃度や呼吸の状態を測定いたします。通常他のクリニックでは結果の説明までに1週間程かかりますが、当院では即日対応ができます。

各種検査