合言葉は「楽しく飲んで、翌日も人間」。肝臓は24時間働きますが、残業代は出ません。
1.今夜の主役はあなたじゃなくて“肝臓”
お酒は体内でアルコール →(ADH)→ アセトアルデヒド →(ALDH)→ 酢酸へ。
顔が真っ赤になるタイプは分解が遅く、毒性の強いアセトアルデヒドが溜まりやすい体質の可能性。ヒーローではなく撤退の判断が早い賢者です。
目安の“純アルコール量”は 飲んだ量(ml) × 度数(%) × 0.8 ÷ 100。
例)ビール中瓶500ml×5% ≒ 20g、日本酒1合180ml×15% ≒ 22g。
肝臓が1時間に処理できるアルコールはだいたいビール小瓶1/2本分程度。カラオケでキーを上げても代謝は上がりません。
2.急性アルコール中毒:笑い話で済まない“危険サイン”
119通報レベル(迷ったら電話!)
- 呼びかけても反応が乏しい/うとうと→起きない
- いびきのような浅い呼吸、呼吸が不規則遅い
- 嘔吐を繰り返す、顔色が悪い/冷たく青白い
- ひきつけ(けいれん)
NG対応(やりがち選手権)
- 無理やり立たせて歩かせる → 転倒&低体温の危険
- 風呂、サウナで“汗かき作戦” → 失神リスクUP
- コーヒーで“正気に戻す” → 覚醒するだけで、アルコールは抜けません
正しい一次対応
- 横向き(回復体位)**で嘔吐物の誤嚥を防ぐ
- 防寒頭部打撲がないか確認
- 付き添いが帰宅させない(一人にしない)
3.お酒の“都市伝説”を成敗!
- 「吐けばリセット」 → ✕ 体内のアルコールはすでに吸収済み。
- 「ビールは水分補給」 → ✕ 利尿作用でむしろ脱水。
- 「甘いものを食べれば酔いがさめる」 → ✕ 血糖は上がるがアルコール代謝は別レーン。
- 「寝酒で寝つきが良くなる」 → △ 入眠は早まっても眠りが浅く途中覚醒が増える。
二日酔い(hangover)の語源は「酔いの“ぶら下がり”」。たしかに翌朝、人生にぶら下がってますよね。
4.“飲む前〜飲んだ後”のセルフディフェンス
飲む前
- 空腹厳禁:タンパク質+脂質(枝豆、チーズ、唐揚げ少々)で吸収スピードを緩やかに。
- 今日の上限を宣言:「私は2杯で幸せになります」—声に出すと周囲も止めやすい。
- 飲み合わせに注意:睡眠薬抗不安薬一部の鎮痛薬とお酒は超危険。
飲んでる最中
- チェイサー(お水)同伴:1杯につきコップ1杯の水を“同時進行”。
- 色の濃い蒸留酒は控えめに:不純物(コンジナー)が多いほど二日酔いが重くなりやすい説が有力。
- “圧倒的ペース配分”:乾杯の勢いで勝負しない。前半は会話、後半はお茶。
飲んだ後
- 炭水化物は“ちょい足し”:おにぎり半分や味噌汁で低血糖対策。
- 経口補水orスポドリで脱水を回復。
- 寝落ち禁止:歯磨き&パジャマに着替え、横向きで就寝。
- 雑学:肝臓のキャパは“根性論”で拡張できません。トレーニングで鍛えられるのは飲まない勇気。
5.翌日リカバリー “24時間ロードマップ”
T+0h(起床直後)
- コップ1~2杯の水、可能なら経口補水。
- 太陽光を浴びる1~2分 → 体内時計を強制リセット。
- 低血糖対策にバナナ+ヨーグルトや味噌汁。
午前
- カフェインは少量(コーヒー1杯まで)。胃がムカつくなら紅茶や白湯。
- 頭痛はまず水分+休息。どうしても鎮痛剤なら空腹でNSAIDs×、必ず軽食と一緒に。
- ※前夜の飲酒量が多い場合、アセトアミノフェンは肝臓負担に注意。
午後
- 20~30分の散歩で血流を上げる。汗だくの運動はNG。
- 昼寝OK(20分以内15時まで)。長いと夜寝られなくなる。
夜
- 塩分控えめ+水分を続ける。鍋のスープは残す。
- ぬるめ入浴(40℃10~15分)→就寝90分前がベスト。
- 翌日の運転注意:アルコールは寝たらゼロにはなりません。
- 深酒の翌朝は運転しないのが最適解。
6.幹事さん向け“神配慮リスト”
- 乾杯ビールの後に“全員分の水”を即オーダー
- ノンアルの選択肢を最初から提示(スパイスソーダ、ノンアルカクテルなど)
- “今日は2杯でハッピー”札を卓上に(写真ネタにも)
- 会場の段差階段外気温を事前チェック(転倒&低体温対策)
7.受診の目安(ここは真面目)
- 嘔吐が止まらない/血が混じる、強い頭痛や黒い便
- 胸の痛み動悸息切れ、脱水でふらつく
- 睡眠薬抗不安薬などと併用してしまった
- 我慢比べは無用。電話でご相談 or 119へ。
8.まとめ(今日の合言葉)
“1杯1水上限宣言撤退は武士”
翌日は光水軽い散歩の三種の神器
ヒーローは飲む人ではなく、明日も元気な人

